初秋

A day on the mountain

この2ヶ月間、ザルツブルクにて自然に親しみ、音楽に耳を傾ける日々でした。

ご存知かもしれませんが、この界隈は湖水地方と言われておりまして、アルプスの山々に囲まれたこの地には底まで透けて見えるほど美しい湖がいくつも点在しています。風のない朝には、一寸法師のようにサップボードに乗って湖面をスイスイと進んでみたり、雨上がりには山歩きをする道すがら苔やシダを眺めてみたり、曇りの日には草むしりに励み、快晴の午後には日陰にて来たるドラマの撮影のための台本を読んだり、このところ最も頭を抱えているドイツ語の勉強に勤しんだり………。

挑戦しつづける人生でありたいと、40歳を越えて自動車免許を取得したり、こちらオーストリアでの暮らしを始めたものの、この年齢で新たな言語を学ぶことは、やはりそう簡単には参りませんで、四苦八苦しております。
「こんな複雑な文法をドイツ語に組み込んだ首謀者はどなた様?」と恨み節を言いたくなるほど難しく、脳味噌がオーバーヒートしそうになっては、テキストを見て見ぬふりをして数日間過ごしたりしているのです。

絶妙な塩梅のイクラや、オーガニックの海老を取り扱うお魚屋さんに、熟成肉を扱うお肉屋さん、希少なシュタインピルツというキノコがお目見えする市場、羊のフレッシュチーズを販売する牧場、古代小麦エンマーやスペルトを扱う製粉所など、安全で美味しい食材を求めての買い物は、ザルツブルクの端から端までドライブする必要があり、これにオーガニックのココナツヨーグルトや豆乳などの買い出しを加えると一日がかりの仕事になりますが、朝のフルーツも、お昼の軽食も、午後のお茶も、夕食も、屋外で山の澄んだ空気と共にいただくと買い物の煩雑さなど忘れてしまいます。

日々の暮らしを営むだけで、瞬く間に時間は過ぎて行きますが、その一方で旧市街地の祝祭大劇場にて行われている世界最高峰とも言われる音楽と演劇の祭典「ザルツブルク音楽祭」も欠かせません。

ダニエル・バレンボイムの指揮によるマーラーの「交響曲5番」や、大好きなソプラノ歌手アスミック・グレゴリアンの歌うショスタコーヴィチの「交響曲14番」など、ウィーンフィルの滑らかな調べに耳を澄ませたかと思えば、本日は主席指揮者にキリル・ペトレンコを迎えた新体制のベルリンフィルと異色のヴァイオリニスト、パトリシア・コパチンスカヤによるシェーンベルクの「ヴァイオリン協奏曲」に、チャイコフスキーの「交響曲5番」のリハーサルをこっそり拝聴して参りました。

言わずと知れたマーラーの5番やチャイコフスキーの5番は美しく耳障りの良い音楽ですが、ショスタコーヴィチの14番とシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲は少々難解でした。
しかし、調性を排した難しい音楽も、演奏者が音楽に没入し、身体に染みこんだ音とリズムを自らの言葉を語るかのように放ってくれると、聴いているこちら側まで、まるでその難解な音楽を理解したような気になれるほど楽しめるものなのですね。
私は音楽家ではないので、詳細はよくわかりませんが、まさにアスミック・グレゴリアンとパトリシア・コパチンスカヤには、近現代の音楽を理解する卓越した感性と、それを表現するだけの技術が備わっており、音楽の語る情景が見えていたらこそ、こちらにもその情景が自ずと伝わって来たのでしょう。
もちろんソリストを陰に日向に支えるオーケストラの演奏もそれぞれ素晴らしいものでした。

演じる際にも情景を伝えられる人間でありたいと、改めて心に誓った次第です。

間もなく始まるドラマ「ハル〜総合商社の女」の撮影に向けて、こうして心に栄養を注ぐ日々を終え、そろそろ日本へ帰る予定です。
初秋とは言え、まだまだ耐え難き暑さが続くこの頃にて、皆様どうぞお身体に障りませんように。

フランス映画祭横浜2019

Plaque commémorative Henri Jean Pilot in Paris

フランス映画祭横浜2019が昨夜開幕となりました。

この度、フェスティバルミューズというお役目を仰せつかりまして、横浜みなとみらいホールにて開催されたオープニングセレモニーにて、フランスからおいでになったミッシェル・オスロー監督や、ニルス・タヴェルニエ監督、ジル・ルルーシュ監督などをお出迎えする幸運に恵まれました。
残念ながら「男と女」や「愛と悲しみのボレロ」、「白い恋人たち」などで世界中にその名を轟かせたクロード・ルルーシュ監督は一日遅れでのご到着とのこと、お目文字は叶いませんでしたが、熱狂的なフランス映画ファンの皆様とご一緒に、憧れのフランス映画に浸る幸せを分かち合うことができました。

まだ迷い多き10代の頃、わけもない苛立ちを静め、溢れる探究心を満たし、言葉にできないもどかしい想いを代弁してくれたのがフランス映画の数々でした。
フランス映画を上映するミニ・シアターが健在で、一日に何館もはしごしては、胸をえぐられるような愛の物語に呆然としたり、官能的な作品にドキドキしたり、社会を風刺する痛烈なユーモアに笑い転げたり、難解で冗長な作品でうたた寝をしたくせに、わかったような顔をして映画館を後にするような青春でした。

フランス映画に憧れるあまり、一時期はレオス・カラックス監督の「ポンヌフの恋人」の舞台ともなったポンヌフ橋の左岸に位置するレンガ造りのアパートにて、Chamble de bonne と言われる住み込みの家政婦さんのための小さな屋根裏部屋を借りて東京との往復を繰り返していたほどです。
シャワーもバスルームも共同のその部屋を借りた当初、冷蔵庫もなかったほどなのですが、卵や日本から持ち込んだ明太子などを窓の外に吊して、天然の冷蔵庫などと言って何もない暮らしを楽しんでいました。
もっとも、共用部の掃除をする度にはばかりもなく汚す住人達に耐えきれず、しばらくしてサン・シュルピス通りのアパートに移ることにはなりましたが。

映画館が密集する6区に住まい、Le champo やGrand Action,L’Arlequin,MK2といった映画館を徒歩で訪れることが、東京で休む間もなく働き、常に燃え尽きていた私の心身を取り戻す大切な時間でした。

この度も、美しいシネマトグラフと、辛口のユーモア、弱者への温かい眼差しに満ちた素晴らしい作品の数々が一挙上映となりますので、ぜひ横浜の街でフランス映画に耽溺する喜びを味わっていただけましたら幸いです。

フランス映画祭横浜2019は6月23日まで。

Mark Rothko

Mark Rothko exhibition at Kunsthistorisches Museum in Vienna

新たな時代の幕開けとともに長いお休みを堪能なさった方々、あるいは変わらずお仕事や勉学に邁進なさった方々、様々いらっしゃることでしょう。
ゴールデンウイークにお休みをいただけることなど、ここ数年はなかったのですが、「Followers」の撮影中にもかかわらず、久々に暦通りの長いお休みをいただくことが叶い、しばしウィーンへ戻っておりました。

ハプスブルク家とモーツアルトをはじめとする名だたる作曲家たちの残した遺産によって未だ観光地としての魅力が絶えない彼の地では、何か特別なことをせずともただ街歩きをしているだけで、時間を有意義に過ごすことができます。
東京の人口約930万人と比較しても、オーストリア全体の人口が約880万人と、いかに小さな国であるか驚かされるのですが、そんな小さな国の首都ウイーンは、音楽に美術、建築、文学、精神医学や心理学(あのフロイトもアドラーもウイーンの出身です)などの文化が豊かに花開いた街でもあります。

この度は、歴史あるコンツェルトハウスにてウィーンフィルの演奏によるマーラーの交響曲8番を聴く機会に恵まれ、合唱団と8名もの独唱者を加えて200名以上(1000人のシンフォニーとの呼び名もあるほど)がステージで共に音楽を奏でる壮大な名曲に心を震わせました。

また、サマータイムにて夜の8時でもまだ明るいこの頃では、夕食後に街歩きをすることも珍しくなく、ホロコーストの生存者のポートレート写真が並べられたリング通りを歩きながら、フランツ・ヨーゼフ1世の命によって19世紀に建立された壮麗な美術史美術館を訪れました。
目的は、他でもなく近代絵画史の中で最も心酔する画家マーク・ロスコの展覧会でした。

面と線だけで2〜3色の色彩をただひたすらに描き続けたマーク・ロスコの作品は、一見したところ感じる静けさのみならず、よくよく眺めてみると、猛々しさをも持ち合わせているように思えてなりません。
確か20歳の頃にパリのポンピドゥセンターだったか、ニューヨークのMOMAだったかで初めて鑑賞して以来、誰かに理解されたくとも理解されない苦悩のようなものが滲み出る彼の作品に触れる度に、息が止まりそうになります。
ロシアからユダヤ人の移民として家族とともにアメリカに渡ったマーク・ロスコヴィッツ改めマーク・ロスコは、若かりし頃こそ、様々な画風を試み、写実主義ではないものの静物画やポートレイトを描き、シュルレアリスムに興味を示しては、ピカソの真似事のようなスタイルにも挑戦しつつも、1930年代から色調やモチーフに一貫性が見受けられました。
年齢を重ねるごとに用いる色の数は少なくなり、モチーフも簡素化され、一点一点が心にずしりと重く響く作品を描くようになります。
晩年はアンディー・ウォーホールやロイ・リキテンシュタインなどのポップアートの台頭によって自身の存在価値を脅かされ、人を信用しなくなり、孤独の果てに自ら命を絶ってしまうのです。
2009年に川村美術館でのロスコ展の折に、最晩年の漆黒の世界を描いたシリーズを拝見して、胸がキリキリと締め付けられたことが今でも忘れられません。今回は最晩年の漆黒の作品はわずかのみでしたが、初期の多様な作品から、いかにして彼がマーク・ロスコらしい作品にたどりついたのか、その変遷を垣間見ることができました。

ことほどさようにウィーンの街歩きは興味が尽きませんが、思えば日本にも、素晴らしい美術館や博物館がたくさんありますね。
次はどちらの美術館を訪れようか、思案中です。

Followers


Art installation on the scaffolding at Schillerplatz in Vienna by Katharina Cibulka

本日より、新たなドラマシリーズの撮影が始まります。
これまで、一視聴者として楽しんでいたNETFLIXのオリジナルドラマで、写真家であり映画監督でもある蜷川実花さんが演出をなさる『Followers』です。

女性の女性による女性のためのドラマとでも申しましょうか。
女性の生き方は、従来通りのお嫁さんになって子供を産んで家庭を守るという形にとどまらず、キャリアを追求する生き方もあり、キャリアと家庭の双方を大切にする生き方もあり、あるいはキャリアにも家庭にも興味が無く、引きこもる女性も存在するでしょうし、同性婚を選択したり、Aセクシャルであったり、さらにその先には、これまでなら人々が眉をひそめ、口にすることがはばかられた理由で男性を求める新たな生き方(詳しくはぜひドラマをご覧下さい)もあることでしょう。
男女問わず、性別、趣味嗜好、生き方、宗教など、多様性が容認される時代になりつつあるというよりも、認めざるを得ない時代になって来たことが、このドラマに携わることで如実に感じられます。

東京という雑多な街に生きる女性達の生態をリアルに、ときに毒を含みつつも軽妙に描いた群像劇にて、主人公の写真家、奈良リミを演じることとなりました。
若かりし頃に掲げた夢を夢想で終わらせるのでなく、我が物とすべく自ら責任を背負って生きる女性のたくましさ、そして、そんな強靱な精神を携えた女性だからこそ抱く将来への一抹の不安、脆さなどを本音満載でお届けします。
本作はフィクションではありますが、奈良リミのモデルは、監督の蜷川実花さんご本人であると言われており、蜷川さんの周囲の方々の実体験を伴った物語が、10話にわたるエピソードのそこかしこにちりばめられておりまして、これより始まる撮影の日々が楽しみでなりません。

追々発表になるかとは思いますが、魅力的な女性キャスト(もちろん男性も)の皆様に恵まれ、心を開いて撮影に臨むことができそうです。

因みに昨年の日経新聞で特集されていた記事には、NETFLIXでは視聴率を発表しておらず、視聴者のデータにおいて、年齢も性別も関係なく、その方のお好みの傾向のみでデータを集計し、アルゴリズムによっておひとりおひとりのお好みの傾向を分析して、おすすめ作品をページトップに表示するシステムなのだと書かれていました。
おかげさまで、私もNETFLIXの戦略にまんまとはまりまして、映画やドラマにとどまらず、ドキュメンタリー作品を次々に視聴している次第です。

『Followers』は2020初頭、世界190カ国同時配信の予定です。
ぜひご期待くださいませ。

寿

Fireworks on New year’s eve

あけましておめでとうございます。
早いものでもう2019年ですね。
今年も新たなドラマの撮影を控え、すでに準備が始まっています。

ただいまウィーンにおりまして、大晦日は夕方の6時くらいから、つい今朝ほどまで至る所で打ち上げ花火があがり、
祝賀ムードに沸き立っています。
また、オーストリア国民が熱狂するスキージャンプのレースでは、日本人の小林陵侑さんが大変注目されています。
実は本日、NHKEテレの「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2019」に出演させていただくことになりまして、こちらウィーンの楽友協会より生中継にて現地の熱気をお届けすることになりました。
クリスティアン・ティーレマンさんの指揮のもと、お正月の風物詩であるウィーンフィルによる陽気で快活なワルツやポルカに耳を傾けつつ、皆様とご一緒に新年をお祝いさせていただけたらと思います。

放送は18:45〜22:00までです。
黄金色に輝く音楽の殿堂よりお届けする音楽をぜひお聴きくださいませ。

結婚

The wooden swing shot in South Tyrole

突然ですが、このたび結婚の運びとなりましたこと、ご報告させていただきます。

お相手は、ドイツ出身の音楽家ティロ・フェヒナーさんで、
ウィーン国立歌劇場管弦楽団、そしてウィーンフィルハーモニー管弦楽団、
さらには管弦楽アンサンブルPHILHARMONIXにて、ヴァイオリンより少しだけ大きく、
チェロよりはずいぶんと小ぶりなヴィオラという楽器を奏でています。

日本とオーストリア、異なる国で暮らす私たちは、話せば長くなるような不思議な偶然が
重なって、2016年の秋に出逢い、信頼関係を育んで参りました。
共に山歩きをする時などは、常にこちらのペース配分に配慮し、自らの楽しみや利益よりも、人の幸せを優先する彼の人柄に惹かれました。
ヴァイオリンをはじめとする様々な楽器の音に真摯に耳を傾け、
自らの音を主張するのではなく、調和を大切にして来たヴィオラ奏者だからこそ、私のような
自由を愛する人間をも手なずけることができるのでしょう。

これより拠点はオーストリアになりますが、語るべき物語を携えた誰かを演じる日々と、何者でもない自分に戻る日の緩急をつけて、これまで通り大切にお仕事をさせていただきますので、変わらぬご愛顧をいただけましたら大変ありがたく存じます。
また、オーストリアへ送ることのできる荷物には限りがあり、お礼のご挨拶に馳せ参じることも叶いませぬゆえ、お祝いなどのお心遣いは謹んでご遠慮申し上げます。
最後になりますが、皆様のますますのご健勝を心よりお祈りいたしております。

The wooden floor of Salesian Junior High School

保湿成分がお肌に吸着し、しっとりと柔らかいお肌を保ってくれるライオンのボディーソープhadakaraから、泡で出てくるタイプの発売が決定となりまして、強行で一泊だけ東京へ戻り、新たなCMの撮影をして参りました。

私の肌は、糖質を摂ればたちまち大人のにきびが出現し、強い化粧品や洗剤によってかぶれてしまう敏感肌でして、限界を超えて働き過ぎると蕁麻疹や帯状疱疹に見舞われることもあるアレルギー体質だったりもします。
分子整合栄養医学の処方によるサプリメントの摂取によって多くの症状は改善され、とりわけビタミンDを一日に15000IUという高単位で摂りだしてからは、花粉症だったことも忘れているくらいですが、それでも現在過ごしている山の中では蚊に刺されただけで過剰に反応していつまでもかゆいままですし、先日も放牧されている牛の傍らを油断して歩いたところ、あえなくブヨの攻撃に遭い、背中も手も、目も当てられぬほど腫れまして、「hadakaraのCMの撮影に間に合わない!」と、渋々ステロイド点滴を施した次第です。

そんな私でも安心して使えるhadakaraから泡で出てくるタイプが発売とは何と嬉しいことでしょう。
木漏れ日が心地よく差し込むミッション系スクールにて、意味深長でドキッとするような物語を撮影したのですが、スタッフの皆さんの絶妙なチームワークによって瞬く間に進み、初めてのシャワーシーンもふわふわでクリーミーな泡を肌に塗布して滑らせること数回、無事に終了いたしました。

ありがたいことに、撮影用小道具として大量に飾られていたhadakaraをいただいて帰っても良いとのこと、スーツケースの隙間にお気に入りのフローラルブーケの香りと、グリーンフルーツの香りを詰めて飛行機に飛び乗ったのでした。

泡で出てくるタイプの発売は9月26日です。ぜひ店頭にてお求めくださいませ。

ヒューゲルカルチャー

Running my little farm with hugelkulture

音楽祭で賑わうザルツブルクは、例年には珍しく灼熱地獄を迎えています。

幸い山の中で暮らしているため比較的涼しく、昼夜問わず安眠できておりますが、街で暮らし、仕事をする人々にとっては、死活問題です。
盛夏の湿気と高気温に慣れた私たち日本人は、各家庭に冷房や扇風機を完備していますが、こちらでは、ラジエーターや暖炉など、暖房器具の設置には余念がないものの、冷房をしつらえるという習慣がありません。
数年前の熱波にて、ヨーロッパで多くのご老人が亡くなったのも、冷房の備えがなかったからでした。
ワインショップのオーナーは、カーブに保存するような高級ワインは難を逃れたとしても、店頭に陳列した数百というテーブルワインが劣化してしまうと嘆き、多くの人々は眠れぬ夜を過ごしているようです。

我が家に引かれた水道は、山の伏流水をポンプでくみ上げたもので、近隣の数件と、貴重な水源を分かち合っており、西日本の惨劇とは裏腹に、降雨量が不足しているこちらでは、植物への水遣りも遠慮がちになってしまいます。
それでも、今年初めて挑戦したヒューゲルカルチャー農法のレイズドベッドは、リーフレタスやルッコラ、トマトに大葉などをグングンと成長させてくれます。
水はけのための石を敷き詰めた上に、数年間乾燥させた薪や丸太を重ね、さらに小枝や落ち葉などを被せて、コンポストの発酵した野菜くずを載せて、ビオソイルで覆っただけなのですが、必要なだけ保水しつつも、確保された水はけの良さと、微生物による発酵、みみずの土壌改良効果により、作物がよく育つそうです。

おかげさまで葉ものも毎日ニョキニョキと生えてくるため、食事の直前に摘みたてを和えることが楽しみとなり、マーケットやスーパーで求める必要がなくなりました。
無農薬の摘みたてサラダは、存外にやわらかく、アルガンオイルやアボカドオイル、オリーブオイルに亜麻仁油、パンプキンシードオイルなど、様々なオイルを日替わりで使い分け、ホワイトバルサミコとザルツブルク産の岩塩、お味噌や鮎の魚醤などを入れ替わりで混ぜ合わせてドレッシングを作って食しています。

バジルは食べる直前にジェノベーゼソースにして古代小麦のパスタにからめ、セージはサルティンボッカに、コリアンダーはタイ風の春雨と海老の炒め煮クンオプウンセンや挽肉のラープムーに用います。
種を持ち込むことができず諦めていた大葉も、幸運にもこちらで苗をみつけたため、海老春巻きに入れたり、手巻き寿司の薬味にしたりと大活躍です。

こちらでは美観の問題から網戸をしつらえる習慣もなく、ハエや蜂、蚊との共存を強いられる田舎暮らしではありますが、にわか自給自足生活はなかなかよいものです。
明日は、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」で忘れ難き印象を残したリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」のコンサートを聴きに行くため、街へでかける予定です。

喫茶去

The great emptiness in Salzburg

ドラマ『あなたには帰る家がある』の撮影が終わり、ザルツブルクにて失われた日常を取り戻す日々でした。

2年前から密度の濃い企画書を下さっていたTBSの高橋正尚さん、長い月日を経て久々にご一緒させていただいた高成麻畝子さん、巧みな演出にて物語に緩急をつけてくださった平野俊一監督をはじめとする素晴らしきスタッフの皆様、そして、優しさと弱さをはき違えたダメ夫を、なりふり構わずコミカルに、絶妙なタイミングで演じて下さった玉木宏さん、男尊女卑をこじらせた残念で哀しい寝取られ夫を、豊かかつ鋭い感性にて演じて下さったユースケ・サンタマリアさん、さらには女性の儚さとなまめかしさ、毒々しさまでも抑制の効いたお芝居にて見事なまでに表現して下さった木村多江さんをはじめとする信頼のおけるキャストの皆様に恵まれて、働く主婦を演じさせていただいた日々では、大島里美さんが書いて下さったリアルで人間味に溢れる怒濤の台詞と闘い、真弓という人物の激しい喜怒哀楽をいかに表現するか、羞恥心や自尊心をかなぐり捨てて、心をいかに自由に解き放つかということに腐心しました。

さて、ザルツブルクでは草刈りに励み、植栽の植え替えをしたり、野菜やハーブの苗を植えたりといった何でも無いことに明け暮れていると、一日が瞬く間に過ぎてゆき、「仕事中よりも忙しいかもしれない」と思えるこの頃です。
UNIQLOのUVカットパーカーを頭から被り、更にはつば広の麦わら帽子でガードをして野良仕事に勤しんでいると、つい先日まで他人を演じていたことなど忘れて、ただひとりの人間に戻れるのです。

そんな平穏な日常に、本日は心にピリッと響く刺激が舞い込んできました。

長年にわたりお世話になっております伊藤園さんが、歌舞伎座にて公演中の七月大歌舞伎を貸し切って、日頃よりご愛飲いただいている大切なお客様や、お取引先の方々をご招待なさるというハレの場にて、お客様にお茶を差し上げるという大変なお役目を仰せつかったのです。
「私の血管には血液ではなく、お〜いお茶が流れています」と言えるほど、10代の頃より、常にお〜いお茶と共にある人生でした。
その伊藤園さんでは、「群鶴の白」と称する甘くて口当たりのよいお抹茶を作られていて、楽家の10代旦入の赤楽茶碗などを用いて、お点前をさせていただきましたが、これもひとえに伊藤園の茶道部の皆様のサポートあってのこと。訪れてはお茶を召し上がり、去って行かれた約300名のお客様とご一緒させていただいたひとときを、大切に記憶に焼き付けました。

慌ただしいようですが、これより再びザルツブルクへと旅立ちます。
雨に恵まれて、しその苗も無事であることを祈りつ………。

最強オーガニックUV

TV&MOVIE Bright UV Essence 50

4月13日より放送の新たなドラマ「あなたには帰る家がある」の撮影中です。

山本文緒さん原作の本作は、二組の夫婦の「本音と秘密の物語」でして、私は娘の中学受験を見届け、職場復帰し、家事に仕事に奮闘する主婦、佐藤真弓を演じており、優しそうに見えて、ふらふらとあらぬ方向へ人生の寄り道をしてしまう夫の秀明を演じて下さるのは玉木宏さんです。
玉木さん演じる夫が務めるハウジングメーカーの顧客で、モラハラ夫の中学教師茄子田太郎をユースケ・サンタマリアさんが、茄子田の貞淑な妻で、真弓の夫秀明がついその魅力にからめ取られてしまう美しき茄子田綾子を木村多江さんが演じて下さっています。

既婚、未婚を問わず、恐らく全ての女性が抱くであろう男性への不満を辛辣かつコミカルに吐き出し、普段は人目をはばかって罵詈雑言を口にすることのできない女性の心を代弁させていただきます。
自分は何も家事を手伝わないにもかかわらず、妻や恋人への要求だけは高い男性は、まだまだたくさんいらっしゃるようにお見受けいたします。
あるいは、ゴミ出しをしたり、子供をお風呂に入れただけで、「俺は家事を手伝ってやっている」とご満悦の男性もいらっしゃることでしょう。
そんな男性のあれこれに、憤り、嘆息し、諦め、果ては没交渉となった女性たちの悲痛な心の叫びを盛り込んだリアルな物語であるのと同時に、ともすればドロドロの惨憺たる作品になりがちなテーマを痛快に笑い飛ばし、たくましく生き抜く女性の姿をお見せしたいと思っております。

とは言え、名刺に書かれた肩書き以外何もすがるものがない(あら失礼!)男性のために、少しだけ援護させていただくならば、彼らにも私たち女性に対するご不満は多々あるようでして、そうした男性の心のつぶやきもふんだんに盛り込まれています。

先日は、心地の良い快晴の朝のカフェにて新たな台本に読みふけっていたところ、あまりにも愉快だったため、衆目を忍ばず抱腹絶倒してしまい、隣席の見知らぬ方の失笑を買ったほどです。

舞台は鎌倉、湘南でして、趣のある街並みの中、容赦なく降り注ぐ日差しにも負けず、いえむしろ明るい日差しを堪能しつつ、玉木さん演じる夫と闘う毎日です。

ロケでの日差しに加えて、山歩きやロードバイクを楽しむこの頃では、日焼けによる肌へのダメージがやはり気になります。そこで、TV&MOVIEより、ブライトUVエッセンス50と称する、オーガニック史上最強SPF50の日焼け止めをプロデュースさせていただきました。

TV&MOVIEの化粧品ではおなじみの馬油、馬プラセンタ、ストロングマヌカハニー、ビデンスピローサなどの美容液成分を中心に、ベビーピンクのベースカラーに加えてパールを配合しているため、肌色をワントーン明るくきれいに見せる効果がありまして、よくのびるため、米粒大で顔全体をカバーできることが自慢です。
香りはフランスの調香師さんが天然の原料のみで抽出してくださった希少なネロリでして、忙しない日常に心の安らぎを与えてくれます。

これより、このブライトUVエッセンス50を頼りに、気兼ねなく屋外を闊歩し、ためらうことなく夫への不満をぶちまける日々になりそうです。

TBSの金曜ドラマ「あなたには帰る家がある」は4月13日金曜日22:00より、初回は15分拡大にてお届けいたしますゆえ、どうぞご覧くださいますようお願い申し上げます。

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