DIARY
Sans Sucres

The chocolates of Pierre Marcolini meet a white porcelain dish made by Taizo Kuroda
ベルギーのショコラティエ、ピエール・マルコリーニさんと、黒田泰蔵さんの白磁の器が都内某所にて、奇跡の出逢いを果たしました。
小さなお茶室にて迎えてくれたのは、ハナミズキの赤い実と、ホトトギス、そして、あの宮本武蔵が描いた画に大徳寺190世の天室宗竺和尚という高僧が賛を添えた掛け軸。
黒田泰蔵さんの器を用いた菓子盆には、ピエール・マルコリーニさんがこの日のために誂えてくださったノンシュガーのチョコレートが三種。オレンジピールが香るゴマを配したチョコレートに、ほんのり含んだゆずが芳しきガナッシュ、そしてくるみを包んだサクサクのミルクチョコレートと、トウモロコシ由来のGI値の低い甘味料マルチトールを用いたお品は、いずれも至福の味わいでした。
お砂糖をいただけない私にとって、お茶会への参加は少々心苦しかったのですが、こうしたノンシュガーのお茶会ならば、ためらうことなく楽しむことができます。
お抹茶はありがたいことに伊藤園のお〜い抹茶ならぬ、群鶴の白。
「このような日本の伝統的な道具を用いて、現代のモダンな作品と混在させ、ひとつの物語が生まれるのは、想像を絶する夢のような世界だ」と、ピエール・マルコリーニさんも感嘆のため息をもらしていらっしゃいました。
了入の黒楽茶椀も、黒田泰蔵さんの筒茶碗も、もちろん素敵でしたが、驚くべきは、ご亭主がお手ずからピエール・マルコリーニさんのために削られたという、カカオの枝のお茶杓で、人の手によるぬくもりを感じる素朴さに、わずかに緊張ぎみだった列席者全てが、和やかな笑いに包まれました。