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DIARY

色のハレーション/空間のハレーション

Lee Ufan exhibition at Scai the bath house in Yanaka

Lee Ufan exhibition at SCAI THE BATH HOUSE in Yanaka

最も尊敬する現代アートの作家李禹煥さんの展覧会を鑑賞するため谷中のSCAI THE BATH HOUSEへ足を運びました。

60年代後半から始まった「もの派」の中核を担うアーティストとして、鉄板と自然の石だけで表現される彫刻や、点や線だけの版画やペインティングで、芸術の在り方を世に問うていらした李禹煥さんの作品は、「その辺に転がっている石と鉄板を置いただけなんてアートではない」とか、「点や線だけなら誰にでも描ける」などという心のない批判を度々受けたであろうことは想像に難くありません。

しかし、ご自身の肉体と運命を共にして来た筆の運びにより、李禹煥さんにしかなし得ない確固たる意志を持った作品を描いていらしたのです。

あまりにも情報の溢れかえった現代において、何者にも邪魔されない静寂を確保することは困難に等しく、時おり息苦しくもなるのですが、李禹煥さんの作品に向き合う瞬間は、心に静けさと安堵が訪れます。

かつて公衆浴場として、市民の憩いの場であった建物を改装したギャラリーには、李禹煥さんの半世紀以上にわたるキャリアの中でも、萌芽とも言える初期の作品、取り分け1968年に描かれて以来紛失してしまったシリーズに再び挑戦したという、鮮やかなピンク やオレンジの作品が光彩を放っていました。とは言え、芸術家たるもの過去の焼き回しでは満足なさらないようで、ご自分なりに新たな試みをなさったとのことでした。

実は、李禹煥さんはワインの愛好家でもいらっしゃるようですが、なんとあの五大シャトーのひとつに数えられる、ムートンロットシルトの2013年のラベルに、李禹煥さんの作品が用いられることが先日発表になりました。2014年のヴェルサイユ宮殿における個展に心動かされたバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社の方が採用を決定なさったとのこと、いつもはあまり色を用いない照応シリーズをボルドーカラーで表現したボトルが店頭に並ぶ日もそう遠くありません。

余白こそが物言わずして多くを語る李禹煥さんの作品は、他にも直島の李禹煥美術館、ロンドンのテートモダンなどにて常設中です。

80代にして、さらなる高みを目指してご自身を奮い立たせていらっしゃる李禹煥さんの作品に、ぜひ触れてみてください。

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GLOW 2020年1月号(宝島社) Photographer:伊藤彰紀

GLOW 2020年1月号(宝島社) Photographer:伊藤彰紀

GLOW 2020年1月号(宝島社) Photographer:伊藤彰紀

Photographer:浅井佳代子

Photographer:浅井佳代子

ミセス 2021年4月号(文化出版局) Photographer:浅井佳代子

Precious 2021年9月号(小学館) Photographer:伊藤彰紀

ESSE 2021年10月号(扶桑社) Photographer:浅井佳代子

ESSE 2021年10月号(扶桑社) Photographer:浅井佳代子