BANKO archive design museum

BANKO archive design museum in Yokkaichi

BANKO archive design museum in Yokkaichi

先日、「猟銃」の豊橋公演の折、三重県四日市市にオープンして間もない「BANKO archive design museum」を訪れてみました。
名古屋から車で1時間ほどの距離にあるこちらのミュージアムは、焼き物の作家である内田鋼一さんが、ご自身が窯をかまえる四日市に江戸時代から根付いていた地場産業である萬古焼(ばんこやき)の古きコレクターズアイテムを集め、焼き物の未来と地域貢献のために私財を投じて作られたものです。

ご自身は決して萬古焼を標榜している訳ではなく、瀬戸の窯業高校にて作陶を学んだ後、アフリカやアジアなど、世界中を旅して各地の村に住み込みで滞在し、その土地の土で、その村の窯で焼き物を焼くという武者修行を繰り返し、プリミティブでどこか懐かしいのに、なぜか新しく、モダンな器を作り続けていらっしゃいました。

組合や、政治などには全く無縁に見受けられる内田さんですが、何を思われたのか、かつて銀行だった古い建物をリノベーションして、明治期から昭和に作られた品々を収集し、現代の生活にも馴染む器が展示されています。
お察しする限りでは、きっとご自身の志が達成されつつあるなか、「手仕事の灯火を絶やしてはならない」という思いを、説教くささを排除して、楽しく美しく、いえ、むしろかわいらしく表現することで、次の世代へのバトンタッチをしようとなさっているのでしょう。

展示室には、金属を使えなかった戦時中に代用品として作られた陶製のやかんやホウロウを模した洗面器、世界中のコレクターが血眼になって探しているという陶製のキューピー人形、萬古焼でも定評のある急須、そして尿瓶やオマルまでが、内田さんの卓越した美意識によって陳列されています。
四日市で焼かれ、アメリカやヨーロッパに輸出されたのち、日本に逆輸入されたものも数々あったようです。

簡易的な板張りの茶室や、立礼(りゅうれい)でお茶を点てることのできる漆喰製の卓など、内田さんのデザインによる古きものを現代の暮らしに置き換えた作品も見所となっていました。

器の作家さんでもいらっしゃる奥様の京子さんと、お嬢さまお手製のスイーツがいただけるカフェも併設しており、こちらもまたアンティークのテーブルや椅子に、内田さんデザインの椅子が配されて、心地よい空間が演出されていました。

本来ならばあまりお知らせしたくはないのですが、特筆すべきは入り口付近のミュージアムショップでして、オリジナルのスツールやかわいらしいデザインのてぬぐいなどもさることながら、京都や東京の骨董品店ではとても手が出ないような、恐れおののく古きお品、たとえば、高麗や李朝、明朝、古伊万里などの、お好きな方なら垂涎ものの器が破格で販売されており、はるばるこちらを訪れたくなるひとつの大きな理由となっているのです。
実は私も李朝のこよりで編まれた蓋物を求めさせていただきました。

都会でなくとも、美しいもの、好きなものに囲まれて日々の暮らしを営み、時おり気の置けない仲間と集い、時間を作って旅に出る、そんな方々が日本各地にいらっしゃるのですね。

本日22:00より放送の金曜ドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」でも、和風割烹とくらの店内にて、内田鋼一さんの器をいくつか使わせていただいています。
わずかに映り込む素敵な器にもご注目くださいませ。

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